2024年5月18日〜19日
L坂本、加藤(智)、宮脇、嵯峨、駒形
モロクボ沢
5月18日(晴)
西丹沢ビジターセンター 8:40 モロクボ沢大滝 10:35 善六ノタワ 12:40 西丹沢ビジターセンター 15:05
会山行1日目、晴天にも恵まれモロクボ沢へ。
5月中旬と沢シーズン初めの時期ではあったが日差しもありとても気持ちの良い気候。
木漏れ日が差し込み新緑が生える渓流はとにかく美しかった。
序盤に現れる一番の難所モロクボ沢大滝(30m)では人口登攀をするべくルートファインディングを試みたが、下から見上げるも右岸側垂壁にリスは走っているが残置ハーケンなどは見当たらず今回は右岸から高巻くことに。
高巻いた後に懸垂下降で確認したところ、垂壁にはリングボルトが5個ほど連なっておりトップアウト部分には残置スリングもあったため、これらを活用すればエイドでは登れるようであった。次回モロクボ沢大滝にトライされる方にはぜひ検討してほしい。
その後はエメラルドグリーンの釜をもった連瀑帯が堰堤まで続き、癒し系の沢を最大限に感じながら進む。
釜に飛び込んだり流心部で滝に自ら打たれにいく嵯峨と駒形を横目に「若いものと来ると大変だね」と加藤。沢登りはより自由にルートを取れるところがたまらなく面白い。
その後のゴーロ歩きと詰めは長くもなく、最終的に善六ノタワへと抜け登山道を通り下山。
下山途中、本棚と下棚に立ち寄った。本棚は流量、落差ともに丹沢山地最大級の大滝と評される名瀑とのことで日本登山体系によると落差は70m。
この滝を鑑賞の対象ではなく、全員が登る対象として観察を始めていたが、今まではこんな考え方をするのは自分一人だったので、同じ思いの仲間がいることに胸が熱くなった。
下棚もまた大きなスラブ滝で、大滝登攀も目標の一つに追加された。
駒形にとっては今回が初の沢登りであったがこれ以上なく最高な経験になった。 遠くから山を眺める時には見えないが実は内部には大きな滝や広い空間が広がっていることが幻想的で冒険的であり、これからは沢登りにものめり込みそうだ。
記:駒形
L坂本、嵯峨
箱根屋沢
5月19日(曇時々小雨)
箱根屋橋 7:50 遡行終了点(箱根屋沢の頭付近) 11:50 箱根屋橋 14:00
会山行2日目、人口登攀の訓練として箱根屋沢の遡行を実施した。
1日目のモロクボ沢は天気も良く超美渓だったのに対し、箱根屋沢は基本的に狭くて流木が多く汚い、滝はヌメヌメ、しかも曇天のため全体的に雰囲気ドンヨリ。。
しかし人口登攀、フリー含めて登れる滝が多く個人的にはかなり楽しめた。
F1(15m) F7(8m)と核心と言われるF8(15m)の人口登攀の滝はリードさせてもらい、アブミにチャレンジ。
思ったよりバランスはとりやすく、怖さはないものの、効率的に進んでいくのが難しく、登りきるまでに時間を要してしまった。特にギアの出し入れが多いので、整理しながら登るのも重要。
グイグイ進めないことにやきもきしつつも、無事にトップアウト。
続くF9の滝を坂本リードの人口登攀で進み、滝の登攀は満足。
他の記録を見るとF9を登ったところから詰めている記録も多いので、残りの滝はパッと巻いて、尾根にあがろうとなったのだがコレが悪かった。
谷の側面は、岩のうえに薄く土と枯れ葉がかぶっている感じで、めちゃくちゃ足が滑る。。
懸垂中も嵯峨が思いっきり滑ったりと、滝の登攀以上に緊張した。
なんやかんやあって、箱根屋沢の頭付近の尾根を無理やりあがり、登山道に合流。
怪我無く遡行を終えることができた。
総じて1日目の楽しい沢登りとは異なり、ヌメりの強い滝、悪い巻きに急登など、沢上りの難しい要素を味わえるよい遡行となった。
キレイな癒しの沢ももちろんいいが、泥んこになって攻略法を考えながら進んでいく訓練的な沢登りが自分は好きかもしれない。(ヒルだの虫だのは勘弁ですが。。)
また、効率よくアブミを使って進むのはまだまだ訓練が必要。
沢だけではなく、岩登りでもアブミの練習をして、冬壁でこの技術を応用できるように引き続き訓練したい。
1日目のモロクボ沢、焚火を囲んでの宴会と併せて、とても充実した週末を送ることができた。
記:嵯峨
L加藤(智)、宮脇
東沢本棚沢
5月19日(曇)
ウェルキャンプ場 7:00 棚沢橋8:00 - F1 9:10 本棚 9:30〜10:30 大岩11:30〜12:00 45m涸棚12:30〜14:00 つつじ新道15:00 ウェルキャンプ場 16:30
F1,F2
今回の目的は25m本棚と45m涸滝なので割愛。右岸から高巻き。カル沢を左に過ごして、25m本棚が目前に現れる。
東沢本棚
ヌメヌメしてなかなか手強そう。早速準備をしてリードトライする。滝の左側から取り付き一旦水流沿いによる。グラグラの岩の隙間に1番のカムをセット。落ちたら弾けるだろうからほとんどおまじないの世界だ。途中のハーケンもボロい。1箇所ハーケンを打ち足しハイステップで体を上げていく。微妙に外径しているヌルヌルホールドへの足置きがなんとも心臓に悪い。ロープが15m伸びたあたりで一旦左によると比較的新しいリングボルトが打ってあり、そこで一息淹れる(それが最後の支点であることはこの時は知らない)。そこから滝の流心に向かってトラバース。最初の一歩が遠く、腰の高さくらいの苔むしたフットホールドを信じて乗り込む。のだが、心を決めるまで逡巡すること3分。いや実際には10分くらい経過したかもしれない。その間に全身ずぶ濡れになるのだが、そんなことに気にかける余裕はない。意を決して右壁まで水流の中トラバース。あとは流芯の中にホールドがあることを信じて無我夢中でひたすらマントルを返してトップアウト。嬉しさより命拾いした安堵感がじわじわやってくる。
それにしても寒い。そうだ。まだ5月なのだ。今日は曇りで気温は15度くらいだろうか。ビレイ点に宮脇を迎える頃には震えが止まらなくなり、明らかに動きが悪いのが自分でもわかる。宮脇には詫びを入れ休憩がてら落ち葉と灌木で焚き火で暖をとって服を乾かす。沢では何でもありなのだ。しかしながら、次の滝をフリーで越えようとした際に、バランスを崩して釜へドボン。あっという間にまたずぶ濡れに。この日は終始服が乾かぬ1日となった。
右岸に大岩のある直瀑
直瀑はどうみても登れない。右岸にある白い大岩5.8を登って高まく。加藤の動きがまだ悪いので大岩登攀は宮脇に任せることに。宮脇はクライミングシューズでトライ。見た目は簡単そうだが、スラブのボルダリング課題のようできちんとムーブを起こさないと登れない、いやらしい登攀となった。
大岩からトラバース気味に高巻きして、直瀑の落口に立つと水枯れで、眼前に白く聳え立つ45m大棚が見える。デカい。この辺りからポツリポツリと雨が降り出す。躊躇している間はない。
45m涸棚
この沢のクライマックスの涸棚。普通の岩壁である。登攀意欲の高い宮脇。ブルブル震える加藤。自ずと宮脇がロープをハーネスへ結び出す。ザックを一つにまとめセカンドが背負うことにする。
1p目 宮脇 右壁からカンテ沿いにハーケンに導かれる。10m程に1.5人分くらいのテラスがありピッチを切る。
2p目 加藤 一旦左の凹角に出るも支点が見当たらず右のカンテを回り込み右の凹角へ。終了点らしきものをやり過ごし、左上するクラック沿いをカム支点で落ち口まで。5.7程度のクライミング。本棚と比べると快適そのもの。
その後は涸滝二つをやり凄し15分ほどの詰めの登りでつつじ新道へ。
東沢本棚沢は短い流程の中、登れる滝が多く、トラッドフリーに慣れていればとても快適な沢だった。 私の集中を切らすような駄洒落を私の登攀中に、宮脇がかまさないかが唯一の心配ではあったが今回は杞憂ではあった。
記:加藤(智)
L桂野、関、駒形
マスキ嵐沢
5月19日(曇)
西丹沢大滝キャンプ場 8:00 入渓 08:45 遡行終了 11:30 権現山山頂 12:00 西丹沢大滝キャンプ場 13:50
会山行2日目、桂野と関が合流し駒形含め3名でマスキ嵐沢へ。
桂野、関とはレスキュー訓練を除き始めての山行になるため緊張半分、楽しみ半分の気持ちで迎えた。
曇天かつ気温もそこまで高くなかったため濡れるのはできるだけ控えようという心持ちで入渓したが、沢に足を踏み入れるや否やそんな気持ちはどこかへ飛んでいった。
入渓から程無く最初の関門・スラブ状の二段滝。背中に若干の不安を抱える関もロープで確保しながらも問題なく突破。
小滝越えにて、足や手の置き場を探すことに慣れておらず手間取っていると、「水が教えてくれるから」と桂野の言葉。
詩的でなんとかっこいい表現だと思いつつ、確かに手掛かりになりそうな箇所では水が跳ね本当に水が教えてくれているようだ。
2段12mく字滝も関を先頭に難なくクリア。途中、下が釜になっている小滝があり直登を試みるも駒形は無念の足スリップで釜ドボン。
普段クライミングに精を出しているが故、情けなくて釜から顔を上げるか一瞬ためらった。そんな駒形を横目に桂野がトライするも、今度は水流で目がやられコンタクトがずれそうになったため途中でコースアウト。直登を阻む中々に手強い小滝であった。
体がずぶ濡れになりガクブルで顎がカチカチとなる中、同じくずぶ濡れになったはずの桂野は余裕顔。ミートテックが効いているとのこと。初めて聞いた単語だった。
その後はいくつかの小滝を越え、最後の15m涸滝へ。念の為ロープを出し桂野がリード。その後は関、駒形と続き全員無事に乗り越えた。
最終盤では中々にザレている急登の詰めをこなして尾根へ上がり山頂へ。
しばしの昼休憩を入れていると後続のパーティが、途中関が忘れてしまった敷パッドを届けてくれた。感謝の意を伝え談笑に戻ると桂野がポーチから何か探している。アミノバイタルのサプリを3つ取り出すと、お礼にと届けてくれたパーティに渡して回っていた。そのスマートな行動と気遣いはとてもカッコよく映り、感謝を行動で示す姿に山男が何であるかを見た気がした。
下山は中々に急な尾根を伝って下ったが、途中傾斜のきつそうな尾根伝いを下ることを嫌い傾斜の緩そうな沢へ。しかし足場が悪く、多少急であっても尾根伝いに降りるべきというのは今回の学びである。
今回は二日間に渡る会山行で初めての沢登りを経験させてもらったが、多くの教えをもらい何より沢登りを心から楽しむことができた。
登り方のコツからギアの使い方、ロープワークに焚き火の起こし方、そして山での人との関わり方。学んだことを少しずつ取り入れ、自分の登りへと昇華させていきたい。
二日間、ありがとうございました。
記:駒形
丹沢
沢