2022/05/28
奥秩父
L加藤智、望月
マルチピッチクライミング
2022/05/28(晴)
8:30股峠駐車場 - 9:30スーパーたこやん11:10 - 11:30股峠 - 12:30西岳中央稜15:00 - 15:30股峠駐車場
最近幸か不幸か仕事が猛烈に忙しい。そのためデスクワークに追われて、持病の腰痛を再発してしまい、望月に詫びを入れて泊まり予定だった豆焼沢を荷物の軽い日帰りに変更してもらった。結果として空いた土曜日を奥秩父へのアプローチを兼ねて、二子山に向かった。
太刀岡山左岩稜、小川山野猿返しなど初心者マルチのステップアップとして人気のルートの開拓者、篠原達郎ガイドが伊豆吉田海岸の魔王で墜死されたニュースは記憶にも新しい。その篠原さんが開拓し、二子山東岳に新ルートとしてロクスノに寄稿していた「スーパーたこやん 5P 10a」が気になってもいたのだ。
朝、駐車場にはすでにいっぱいの車。マルチ渋滞の不安がよぎるが、取り越し苦労で、スーパーたこやんには誰もいない。早速準備してクライムオン。と思ったが、望月は40lザックを担いで登るというのでちょっとタンマ。山では軽さは正義なのである。仕方なしに自分の20lザックを望月のザックに押し込み、望月は空身でフリーの登りとロープワークに集中。加藤はアルパイン練習で全装でクライムオン。泊まり沢を避けた意味とは?を自問自答しながら、加藤1-3-5p 、望月2-4pのツルベで登った。
核心は5p目の10a。2ピン目までは薄かぶりのガバカチをとって足を上げるムーブの連続。なのだが背中の荷物がいかんせん重い。一体何が入っているのか?小姑のように荷物を広げていちいちイライラするのも嫌なので謎は謎のまま取っておく。その代わり、心のノートには貸し1と大きく書き記しておいた。油性ペンで。 事前情報ではスーパーたこやんはカムで中間支点を取りながらとなっていたが、少なくとも1-3-5pでは使用しなかった(3は歩きです)。望月担当の2-4pでも0.75と1番を使用しただけで、2、3、4番の出番は来ず。あれだけ望月に悪態をついた手前涼しい顔をしていたが、使わなかったカムはただの重り(お守り)となるだけだった。
スーパーたこやんを2人とも無事フリーで登り切り、時計を見るとまだ11時ちょっとすぎ。西岳中央稜に向かうことにする。スタートするには時間が遅いこともあり、取り付きには誰もいない。 早速さっきと同じシステムでクライムオン。加藤1-3-5p、望月2-4-6pのツルベで行くことにする。
西岳中央稜の核心ピッチは3p目。逆yの字に走ったクラックが閉じるところを左手の甘いハンドジャムと右手カチ、右足のスラブでデッド気味に左手を送るムーブ。今まで3回登って落ちたことは無いが、とっても嫌な雰囲気しかしない苦手なムーブだ。とても5.8とは思えない。いざ核心に突入すると、肩にザックの中身とカムの重みがずっしり食い込み、こりゃお守りではなく何かの業を背負っている感じ。何もしなくても壁から剥がされそうになるが、なんとか気合いのフリー突破。スーパーたこやんの10aより絶対にムズイ。と一人ごにょごにょ唱えながらトップアウト。3p目終了点のテラスで文字通り肩の荷を下ろして解放され爽快な気分に浸る。4p目以降は前のパーティに追いついたため、各ピッチの終了点ではまったりと時間を過ごしながら、無事西岳頂上に到着した。
二子山の西岳と東岳をマルチピッチクライミングでピークハントし充実の1日だった。この組み合わせは皆様にも是非お勧めしたい。ただし、荷物とギアはくれぐれも軽めで。
記:加藤智