(東京雲稜会50周年記念誌より)
私たちの雲稜会は創立五〇年を迎えることになりました。
会を作った情熱の人、吉野幸作さんはこの記念を迎えることなく早立してしまい、今ここにいないのが残念でたまりません。私は創立以前から長い間指導を受けてきました。お陰で身に余る素晴らしい記録をいくつも達成することが出来て感謝し、良い人と巡り会ったものだと繰り返し事あるごとに強く思いを新たにしています。大きな方でした。
これは吉野さんを知る多くの会員が同じだと思います、意見が違ってたくさんの人達が会を去っていきましたが、きっとその人達も心に大きく残っているはずです。今はOBになっている人たちが多くなりましたが、ここ数年若い強力な現役が多勢入会してきて、これまた頼もしく思っているところです。この人達にも吉野さんのことを伝えていきたいと思っています。
さて考えてみると一つの会に中抜けとはいえ、なんだかんだ五〇年いるということはたいへんなことだと思います。その長い間中少なくても会費は払い続けていて、会には出られなくても発展を願い続けていました。いくどとなく煩わしさから面倒になり辞めようとしても、そのたびに吉野さんに引かれて残ったのではないかと思えます。その吉野さんがいなくなってみると、今度は残された余韻を消すまいと、いつまでも雲稜会の南でいたいと思っています。