一の倉尾根の事故について


平成18年3月18日〜20日にかけて谷川岳一の倉尾根を登山中の当会所属の3名が
遭難状態となり、20日未明にヘリコプターによる救助を要請し、21日朝に、群馬県防災
航空隊のヘリコプターにより無事救助されました。

警察署、消防署の方々に多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫びするとともに、心から
お礼申し上げます。

=事故の概要は以下のようなものです=

3名は18日早朝に土合を出発し、その日は一の倉尾根上(懸垂岩の上部)にビバークしました。
翌19日には天候の悪化もあり、午前中には撤退を決断し下降を開始しましたが、懸垂下降中、
幽の沢側の支尾根に下降してしまい、登り返すことも、下降することも出来ない状態に陥りました。

急斜面に雪洞を掘ってビバークしましたが、20日朝2時過ぎに携帯電話で救助要請の連絡が
入りました。在京の会員より群馬県警察本部に救助を依頼し、沼田警察署では救助隊を組織し、
併せて群馬県防災航空隊への出動要請がなされました。

20日は天候が悪く、ヘリコプターは飛べなかったものの、21日朝になって、3名はヘリコプター
により救出されました。

ヘリコプターが飛べない場合に備えて、21日朝、谷川岳警備隊(小暮隊長)に当会会員2名
を加えた6名は、ビバークの準備をして一の倉尾根末端より救出活動をすべく出発しましたが、
ヘリコプターの出動により救助されたので、一の倉沢出合から引き返しました。

3名のうち2名は比較的元気で、病院で介護を受けた後、即日退院することが出来ました。1名は
疲労が激しく、また足の指が軽い凍傷にかかっていたため入院し、24日に退院しました。

深夜にも拘わらず、救助隊への連絡をしていただいた沼田警察署の方々、厳しいルートにも
拘わらず出動していただいた谷川岳警備隊の方々、そしてヘリコプターで救出していただいた
防災航空隊の方々、休日にもかかわらず治療に当たってくれた沼田病院の方々に心より
お礼申し上げます。

遭難に至った主因は以下のようなものです(詳細な事故報告書は作成中です)。
−荒天が予想されるにも拘わらず行動を続けたこと
−途中で撤退を決定し、懸垂岩の上部の雪壁から下降するも、幽ノ沢側の急斜面に
  引き込まれ、下ることも、登り返すことも困難な状況に追い込まれたこと

以上のようなことが重なり、自力下山が困難となってしまったものです。

今後は、今回の遭難をを深く反省し、再発防止策を講じ、2度と遭難事故を起こさないよう
努力する所存です。

今回の事故の報道により、多くの方々からご心配の電話をいただき、また救助活動へのご
協力の申し出をいただきました。

改めて、沼田警察署、群馬県防災航空隊、その他ご迷惑をおかけした関係者各位に深く
お詫びするとともに、厚くお礼申し上げます。

                                 平成18年4月 

                                 東京雲稜会    
                                    会長  南 博人
                                    代表  滝本 健