一ノ倉沢烏帽子岩奥壁南陵

日程

2021/10/03

山域

谷川連峰

メンバー

L桂野、宮脇

目的

南陵登攀

行程

2021/10/03(晴)
インフォメーションセンター3:30 - 4:30一ノ倉沢出合い4:40 - 5:20衝立スラブ下への懸垂点6:15 - 6:30テールリッジ取り付き - 8:20南陵テラス9:00 - 12:20烏帽子岩終了点12:30 - 14:30南陵テラス - 19:50一ノ倉沢出合い - 20:40インフォメーションセンター

谷川ロープウェイの駐車場は夜間閉鎖になっており、5分ほど下ったところにある谷川インフォメーションセンターに駐車して仮眠。元会員の原先輩パーティにお会いし、衝立岩中央稜に行くとのことだったので、途中までご一緒させて頂いた。アプローチの足場が悪い箇所、藪で道が分かりにくい箇所で先行して注意してくださったりと、とても頼もしくありがたかった。
衝立スラブ下へ降りる懸垂点までたどりつくと、すでに10人ほど待機していた。モルゲンで赤く染まる岩壁を眺めながら順番を待ち、原パーティのロープを使わせて頂いて4人で一気に降りた。
テールリッジ上半部の足場が悪いところからはコンテを交えて進んだ。テールリッジを登りきったところで中央稜にとりつく原パーティと別れ、我々は烏帽子スラブをトラバースして南陵テラスへ。

後続も続々とやってきて、テラスにはあっという間に5パーティほど集中した。
ここまではアプローチだが、林道・沢のゴーロ帯・藪・懸垂・岩尾根歩きと盛りだくさん。初一ノ倉の宮脇には、既にひとつの山を登ったような充実感があった。

ここから、Ⅲ~Ⅴ級の全7ピッチ。3ピッチ目の簡単な草付き+短いフェース部だけ宮脇がリードで歩かせてもらい、他はすべて桂野リード。
一番の難所は1ピッチ目後半の、濡れ濡れチムニー。滑って足が効きにくいところを何とか突っ張って突破。あとはゆっくりながらも順調に、淡々と登って行った。
最後の6,7ピッチ目では、上から懸垂で降りてくるパーティともかち合うようになり、真下に入らないよう気にかけながら登る。
登攀終了は12時30分ごろ。計画では予定時刻12時、撤退リミット13時としていたので、この時点では大きな遅れはなかった。
休憩は短時間で済ませ、すぐに折り返しの懸垂開始。ロープは投げず、毎回ロープ回収後に桂野のバッグにロープを収納した。南陵テラスまでは4ピッチ+10mほどで到着。 この時点で14時30分。少し急がねばという気持ちがありつつも、烏帽子スラブはコンテ、テールリッジもほとんどは懸垂で、慎重に降りていった。
後から登ってきた数パーティは途中で引き返したのだろうか、テールリッジの下降を初めたころ、我々は最後尾から2番目にいた。特に大きなトラブルはなく淡々と作業していたのだが、途中途中の渋滞待ちもあって時間がどんどん押してくる。本谷から最初の懸垂ポイントへの登り返し手前で薄暗くなったので、ヘッデン装着。疲れも感じはじめ、集中集中、と自分に言い聞かせながら歩く。一ノ倉出会いまで、あと500m、もうあと少し!と思ったが、沢から右岸に巻き上がるポイント、沢に下って戻るポイントが真っ暗で分かりにくく、しばし行ったり来たり。最後の最後で意外と時間がかかり、ヘトヘトになって出会いに到着した。
到着時間の大幅な遅れは渋滞が一因ではあるものの、やはり宮脇の時間に対する意識不足、ひとつひとつの動作や懸垂のスピードが遅かったことも大きく影響しているであろうと、反省。

リーダー桂野には、新人を一ノ倉デビューさせるにあたって絶対に事故をおこしてはならない、という緊張感があったことと思う。時間が押してきた中でも、少しでも危険と思うところではロープを出す手間を惜しまず、慎重に慎重を重ねてくれた。そのおかげで、ヒヤリハットや怖さを感じるような場面もなく、楽しく山行を終えることができた。

以前から先輩方が「アルパインはスピード勝負」と言っていた意味、細かい動作の無駄を注意してくれていた意味を、今回の山行で身をもって実感した。支点やセルフのバックアップ等必要なところには手を抜かず、ロープさばきやギアの受け渡し等においては無駄を減らして時間短縮していかねば、遅れが積りに積もって首を締めてくる。また慎重になりすぎても、遅くなることでまた別の危険も生じてしまう。スピードと安全の両立は一朝一夕でできるようになるはずもないが、よくよく意識して、経験を積み身につけていきたい。

谷川は紅葉真っ最中。秋晴れの青空の下でのクライミングはとても気持ちよかった。 3000m峰にも見劣りしない、険しく厳つい岩壁。それが紅葉で色づいたツンデレな姿は、なんともいじらしく、心臓をくすぐられた。

記:宮脇

過去の山行記録