甲府幕岩でのフリークライミングを終え、そのまま山梨に留まり乾徳山のバリエーションルート旗立岩中央稜へ向かう。
前夜に入った焼肉屋での想定外の大盛ライスで疲れ気味の胃は、取り付きまでの2時間ほどの歩きで大分回復していた。
胎内の標識を掲げる岩場を過ぎてすぐ登山道を逸れ左手に進むと懸垂点のあるテラスへ出る。
このテラスへは雨乞岩まで登山道を進んだ方が目印になるケルンもあってわかりやすそうだ。
ガレたルンゼを懸垂下降するためロープは投げずにザックに収め、まずは瀧濱が慎重に降りていく。
50mいっぱい懸垂しそこからさらに歩いて20mほど降りると右へと向かう踏み跡がなんとなくついている。
岩場を見上げる地点まではすんなりと来たが、そこから取付きを探すのに1時間ほど彷徨ってしまった。
何とか取付きを見つけ瀧濱リードの逆Vで登攀開始。前日にフリークライミングをしていたせいか登攀は非常に易しく感じる。
しかし大きな浮石が多くそこは気を使って慎重に。無難に3ピッチをこなし第一岩稜へ向かう。
取付きは杖棄岩の手前を左に逸れたところにある。短い1ピッチをこなし山頂へ。
いずれのピッチも支点はピナクルや残置ハーケン、カムを利用して構築した。
すっかり秋めいてきた空は下山の途中で黄色く染まりはじめ、一面にひろがるススキの穂をキラキラと光らせていた。
(記 柳下)