先月の南アルプス縦走に引き続き、今回は7泊8日で単独で北アルプスを縦走。
総距離80km、標高差13000mと、夏休みなのに休んでなんかいられない。
金曜夜。倉庫に隠していた登山服に着替え、仲間に笑われながら退社。
オフィス街を山の格好で歩くのは目立ってしょうがない。いつになっても恥ずかしく慣れないもんだ。
富山まで新幹線で向かうが帰省ラッシュを舐めていた。満員の通路で立ちながら2時間。やっと座ることが出来た。
富山三大海産物のひとつに数えられる「白えび」丼を食し、寝床を探す。
意識高い系の僕は、夜中に雨予報だったこともあり、屋根もあり、登山バスの乗り口前で寝過ごさずに過ごせるスタバ前。
「多くの人が寝ていますがどうしましょう」と誰かに問合せをしている声で目を覚ますと警官がいた。
「寝た時は1人だったんだが…」と薄目を開けると、同じような山屋が集まってきて10人以上になっていたようだ。
結果、見過ごしてくれて一安心。
2日目。夜になると雷雨が轟音をあげ寝れたもんじゃない。
やっと静けさを取り戻したタイミングでトイレに立つと、満点の星空が広がっていた。
後で知ったがこの日は新月で、ペルセウス流星群が数分毎に流れ落ちてくる。サプライズな夜に乾杯。
3日目。朝目覚めるとまたまた雨。いつまで経っても止まず暇だったため、少し雨脚が弱まったとこでタイミングで雲ノ平まで行くことにした。
するとキャンプ場近くで雷鳥が現われた。待ってみるが一向にどく気配がなく、歩きだすと木道を先導してくれる。
雷鳥とひと時の散歩を楽しむことができた。
4日も経てば風呂も入りたくなる。ということで、日本一遠いという「高天原温泉」へ向かった。
雲ノ平からも往復で7時間。川の横に露天風呂があるだけの場所だが、久しぶりの風呂は格別だった。
帰り道は4時間の登り。また汗だくになってしまったが温泉の香りが心地よい。
ただ風呂のためにここまで歩くのは人生最初で最後でありたいものである。
5日目。やっと朝から快晴が広がり、水晶岳、鷲羽岳では360度の展望を楽しむことができ大満足!というのも束の間。
午後から暴風雨と化し、パンツの中まで全身ずぶ濡れとなり山小屋に逃げ込むこととなったが、服も洗濯できたので良しとしよう。
6日目。天候が荒れ停滞。多くの登山客が下山していった。
前日山小屋に泊まってしまったためテン泊を覚悟するも、風の吹き抜けの場所だから辞めた方が良いと受付で言われ、贅沢にも山小屋連泊。
道中で会った若者と山談義に話を咲かせた。
7日目。やっと天候も回復。待った甲斐があった。
今日は三大キレットの1つ「大キレット」を超えていく。長谷川ピークでは僕の苦手なナイフリッジが多く、高度感を感じた。
恐怖さえ何とかすれば特段と難しい箇所はないが、単独のため一歩一歩慎重になってしまい、時間がかかった。
時間と体力にも余裕があったので、北穂高小屋まで進んで大正解。テン場は20張りほどと小さいが、空いており絶景が広がっていた。
8日目。翌朝は薄氷が張り、気温も一桁に。寒すぎたので日が出てから出発と少しのんびりすることにした。
奥穂高までは登る客と下る客で混雑もしたが、ジャンダルムへ向かうとひと気はなくなった。
馬の背の高度感に出だしから心挫けそうになるも、その後は特に恐怖心が芽生える場所もなく、慎重に進めば問題ない。
天狗のコルからはガレ場を下っていく。どこを下っても同じだろうと歩きだすと浮石だらけで軽く滑落。
ちゃんと目印通りに歩けば浮石も少なかったことを知り、最後まで気を抜いてはならないもんだと反省。
昔の僕だったら1人で旅をすることなど、まして高所恐怖症の僕が大キレットなど行くことはなかっただろう。
合宿と重なった日程の中、許可を出してくださりありがとうございました。
百名山完登まで残り30座
(記 岡)