槍ヶ岳・穂高に行ったことがない私は、二つ返事で柳下の誘いに乗った。計画書が送られてきたら大キレット・ジャンダルムと書いてある。ジャンダルムがどんなところかよくわかっていなかったが、ネットで調べて怖そうなところだなあと不安であった。キレットで無理だったら泣いて詫びて前穂高経由で下山しようと考えていた。
初日は暑さとの戦いだった。
道中は汗が滝のように流れた。しかし徳沢の水は5秒間手をつけるとジンジンするほど冷たい。槍沢までは無料の飲料水が提供されていた。家からわざわざ2リットルの水を担いで来ること必要はないとわかって愕然とした。
途中で休んだ槍沢大曲や水場の水は火照った身体を癒してくれる貴重な水だった。常に、日差しが痛いほどジリジリと照付け、太陽よ隠れろ、風よ吹け、を考えた山行だった。
夜ごはんはウインナーと水餃子の鍋。美味。モンベルの白いアルファ米のパック(400円くらい)は一つで4人が足りる量だ。二つは多すぎる。次からは、一つで結構。
二日目は個人的にはふくらはぎの下の方の疲労との闘いだった。
南岳までは、槍ヶ岳を振り返りながら南下する余裕の行程。長谷川ピークは乗り出すと落っこちそうで怖かった。明日のジャンダルムはやっぱりやめよう。長谷川ピークでは片足がない人とすれ違い、その人は偉大だと思った。
大キレットを通過後、北穂高岳までトップの坂本についていくがこれが予想以上に厳しく、北穂高岳到着、もう歩きたくない。北穂高小屋の800円のカレーライスがとても美味しそう。夜ご飯がカレーライスだし、ゆっくりしていると穂高岳山荘のテン場がなくなるのでもちろん我慢。今度ゆっくり来るときがあればスパゲティを食べよう。
次は涸沢岳まで。長い、長すぎる。そして涸沢岳までの登りがクライミング的要素が盛り込まれていた。要所に鎖やボルトが打ってあるが、家族などを連れてくるような場所ではないと感じた。
涸沢岳に着くと、ふくらはぎの下の方が限界。この部位の疲れを感じる坂本・津嶋組と、この部位の疲れを感じない柳下・長谷で個人差があるようだ。
夜はコンビーフのカレーライス。レトルトの炒め玉ねぎが効いているのか格別に旨かった。最後は、坂本のアイデアで鍋キューブの素を余ったカレーに混ぜてカレーうどんにした。これはアリだ。ただし割りばしを持参した方が良い。
三日目はガレとの闘いだった。
奥穂高岳まで断続的に渋滞、途中でガイドパーティに道を譲ってもらい、奥穂高登頂。穂高岳山荘からペラペラに見えたジャンダルムが、角度が変わり真正面から見ると少しだけ厚く見える。行けそうな気がしてきた。
ガイドパーティに先を越されないようにさっさとジャンダルムへ。馬の背を降りる。馬の背のクライムダウンは気を付けないとステップのないところに足を置いてしまいそうで怖い。
馬の背を降りたところでスマホをしまい損ね、馬の背の上に思い切りディスプレイから落とした。ディスプレイに傷が付いただけで済んだ。HTC製はオススメです。
馬の背からジャンダルムに向かってコルへ降りていたところ、後ろのガイドパーティが石を落として、大き目の二つのラーク。やはり津嶋の方に飛んできた。表面積を減らそうと横を向いたが、石はザックに当たった。無傷。
ジャンダルムは西穂高岳側から登った。他のパーティが1年越しのジャンダルムだと発言していたのを聞いた。3日間、天気恵まれた自分は幸運だ。
ガレの天狗沢を下降し、岳沢小屋を経由して下山した。2時間のガレにより各自大分体力を消耗した。
(記 津嶋)