今年の夏合宿は全員の日程が合わず、前半組と後半組に分けた。
前半組は登攀主体。後半組はほとんどが新人だったので八峰縦走。
期 間 : 2016年(平成28年8月8日(月)~12日(金)
山 域 : 北アルプス剱岳 熊ノ岩
目 的 : 岩稜登攀
メンバー : L 渡辺(三) 、SL 岸川、浦、小林、野島
<8/7(日)>
20:30 錦糸町 → 25:00 扇沢駐車場
<8/8(月)>
6:00 起床、6:40出発 → 6:45 扇沢駅 7:30 → 9:00 室堂 9:20 → 11:55 剱御前小舎 12:10 → 13:00 剱沢
<8/9(火)>
5:30 起床、剱沢 7:40発 → 8:10 剣山荘 8:30 → 11:40 剱岳頂上 12:20 → 13:20 剱尾根コル → 長次郎谷左俣 → 14:00 剱尾根コル(幕営)
<8/10(水)>
3:00 起床、4:45 出発 → 5:45 熊ノ岩 6:30 → 7:00 Cフェース取付
・ 7:20 渡辺(三)・小林組 登攀開始 → 10:20 終了点
・ 7:50 浦・岸川・野島組 登攀開始 → 10:40 終了点
終了点 10:55 → 11:10 Ⅴ・Ⅵコルへの懸垂ポイント 11:20 → 11:50 Ⅴ・Ⅵコル 12:00 → 12:35 熊の岩(岸川・野島組は残り、渡辺(三)・浦・小林組は剱沢小屋へ)
▽ 下山組(L渡辺(三)・浦・小林)
熊ノ岩 12:50 → 14:20 剱尾根コル 14:35 → 15:10 剱岳 15:15 → 17:45 剱山荘
17:50 → 18:15 剱沢
<8/11(木)>
▽ 下山組(L渡辺(三)・浦・小林)
剱沢 6:25 → 7:10 別山乗越 7:20 → 8:25 雷鳥沢 8:45 → 9:45 室堂
▽ 登攀組(L岸川・野島)
3:30 起床、5:10 出発 → 6:00 Dフェース取付 6:20 → 10:00 終了点 10:20 → 10:50 Ⅴ・Ⅵコルへの懸垂ポイント 11:10 → 11:30 Ⅴ・Ⅵコル 11:35 → 12:10 熊の岩 12:40 → 14:35 剱尾根コル 14:40 → 15:35 剱岳 → 18:50 剱沢
<8/12(金)>
4:00 起床、7:10 出発 → 7:50 剱御前小屋 7:55 → 8:40 雷鳥沢 8:55 → 9:55 室堂
<8/8>
快晴で暑い中の登山。雷鳥坂途中で渡辺(三)さんが疲労の為、ロープを野島に渡す。
御前小舎で翌日の天気を確認。予報としては雨。岩に取り付けないことから、三ノ窓や熊ノ岩まで行かず、この日は剱沢キャンプ場に幕営し、翌日はとりあえず熊ノ岩までは移動しようということになった。
剱沢で警備隊から三ノ窓・熊ノ岩は水はとれているとの情報を得る。
<8/9>
朝からガスがかかっていた。風が吹くと寒いが、吹いていないところで登っていると暑い。 ときおりパラパラと雨が落ちるが、本降りにはならない。頂上手前で一瞬ガスが晴れて展望が開けたが、すぐにまたガスの中。頂上でお湯を沸かしてしっかりと休憩。重荷で本峰を上がるのは、一般道といえど神経を使い、なかなか疲れる。
休憩後北方稜線に入る。最初は稜線上を進み、しばらくして巻き道に入り下っていく。稜線はドミノのように岩が重なっているようで危険。巻きはあまり稜線から離れないように気をつける。するとクライムダウンの箇所が出てくる。足下の岩が安定せず悪そう。浦さん先頭で確認しながら下りる。無事に降りたが、後続は念のためロープを出して(浦さんがロープを上から垂らして)通過する。
剱尾根コルを目指すが、ガスがかかりよくわからない。地図・GPSを確認。場所は合っている模様。一瞬ガスが切れコルが見える。そのままコルに降りると長次郎の雪渓を確認。コルから少し下ったところからある。雪渓に取り付くが、バケツは掘られていない・雪の状態が悪いで、滑りやすい。加えて自分は初の急傾斜の雪渓歩行でスピードが出ない。右俣の状態も不安で、このまま進むのは危険と判断。
一旦コルに戻り、剱尾根コルに幕営し翌日晴れたらチンネ or 八ツ峰Cフェースを目指すことに決定。するとすぐに雨が本降りになった。このまま進まず正解であった。剱尾根コルは2~3人用テント一張りがやっとの広さ。隣に岩棚がありその上にツェルトをタープのように張り、荷物置き場を作った。テントの中でお茶を飲みしばらくすると、ツェルトの上に天水がたっぷり溜まっていたのでそれで水を確保。雪渓を溶かす面倒がなくなった。寝るときは、2~3人用テントに5人なので、全員膝をまげて一列になり、頭と膝を交互にして寝た。なかなか辛い夜だった。
<8/10>
3:00に星を確認。晴れ。八ツ峰Cフェースの登攀を行うことを決める。当初はチンネを登る予定だったが、剱尾根コルからのコースタイムを検討すると、時間的な余裕がなく、最悪登攀行為ができない恐れがあることから、確実な八ツ峰Cフェースとなった。
長次郎谷左俣を下ると、昨日、ずっと続いていると思っていた雪渓がすぐに切れていることがわかりあっけにとられる。ガスでよく見えていなかったのだ。雪渓をすぐ終えるとガラ場を下り、熊ノ岩に到着。水を補給・休憩しつつCフェース取付を確認。特に問題なさそうだ。
Cフェース剣稜会ルートに取付き、渡辺(三)さん・小林さん・浦さんが登攀準備。岸川さん・野島は翌日登攀予定のDフェース取付をCフェース側から確認。雪渓をくぐる
or 右から回り込んで取り付くこともできそうだが、悪い。翌日Dフェース左からのルートを確認することに。
Cフェースは渡辺(三)・小林組が先に登り、浦・岸川・野島組が後から登った。渡辺(三)・小林組は小林さん先発のつるべで登った。以下は浦・岸川・野島組。
1P:浦リード。簡単なスラブ。
2P:岸川リード。凹角からフェース。
3P:浦リード。核心ピッチのようだが、とくに難しさはない。
4P:野島リード。かなり高度感のあるリッジ。両端は切れ落ち、一部またがって通過。
5P:野島リード。快適なリッジを進み終了点。終了点ではナチュラルプロテクションを有効活用できず反省。
Cフェースはやはりリッジが面白かった。また登りたい。
懸垂ポイントも難無く見つかり、無事にⅤ・Ⅵコルへ降りて熊ノ岩へ戻る。
熊ノ岩に戻ってから、翌日下山する渡辺(三)・浦・小林組と、Dフェースを登る岸川・野島組と分かれる。
分かれてから、双眼鏡を使ってDフェースをじっくり観察した。
<8/11>
晴れ。Dフェース富山大ルート取り付きの雪渓の状態を他パーティから情報入手。去年と同じく雪渓を渡り左から回り込みとりついたとのこと。実際に行ってみると、確かに同じように取り付けそうだと岸川さんが判断。そのまま難無くDフェースに取り付いた。野島先発のつるべで登る。
1P:野島リード。フェースを左上。特に問題なし。
2P:岸川リード。バンド状を左上。途中岸川さんが一歩を越すのに手間取る。リードだとちょっと恐い。また、岩が脆くなってきて注意する必要がある。
3P:野島リード。核心ピッチ。小ハングを超えて左上していくと、クラック混じりのほぼ垂直フェース。ハーケンがここだけたくさん打ってあり、昔の人はここを登山靴で登ったのか?撤退用のハーケンか?ルートが違うのか?などと昔の人の気持ちになり必死に考え、左右を見渡す。右からまわりこむこともできそうだが、垂直フェース取り付き位置からまわりこむまでのところが草付きでくずれそうにも見え、そのまま直上した。ピトンを踏んだりA0を使ったりしながら慎重に登る。手足のホールドやピトンをひとつひとつ確認しながらの垂直登攀は疲れる。問題なくクリアしたが、終了点を探すのに手間取り反省。
4P:岸川リード。リッジに出る。浮き石が出てくるので要注意。
5P:野島リード。リッジの上か、リッジより少しだけ下がったところを登る。大きい浮き石あり。
6P:岸川リード。リッジ付近を登る。最後50mロープを5mほど残して終了点へ到達。
途中雨がほんの少しパラつき、撤退かとも思われたが、雲・風を注意深く見守りながら登攀していると天候は回復し、晴れたので安心した。やはりルートファインディングが難しい。終了点で少し休憩し懸垂ポイントへ。前日に位置を確認していたのでスムーズに降りることができた。
熊ノ岩でテントを撤収し、本峰を超えて剱沢まで戻る。本峰の下りはなかなか骨の折れるものだった。剱沢で後半組のメンバーと合流し、ホッとする。お茶をいただいた。最高においしかった。
<8/12>
晴れ。後半組のメンバーの出発を見送り、安全を祈る。その後のんびり朝食をとったあと下山。下山後は大町温泉郷 薬師の湯で疲れをとり、近くの蕎麦屋でお腹を満たし電車に乗った
【感想】
今回、初めての本チャンでしたが、事故なく無事に登れて良かったです。Dフェースの終了点に立った時は感無量、これまで頑張ってきてよかったと心から思いました。これまで教えていただいた皆様本当にありがとうございます。
課題としては、ルートファインディングとスピード。ルートファインディングについてはもっと経験が必要だし、ビレイポイント探し・支点構築も遅いので、もっと精進していきたいと思います。
メンバーのみなさま、ありがとうございました。(記:野島)