場所 : 剱岳 剱沢定着
日時 : 8/10-16
メンバー:L渡辺(三)、登攀L藤田、二宮、野水、山田、岸川、小林、浦
8/9夜発 先発隊 渡辺(三)、岸川、小林、浦
8/10 先発隊入山 剱沢
8/11 八ツ峰Ⅵ峰Dフェース富山大ルート 小林下山
8/12 チンネ左稜線 L渡辺(三)、岸川、浦、 後発隊夜発 L藤田、二宮、野水、山田
8/13 先発隊 休養日 後発隊 入山
8/14 雨のため停滞
8/15 源次郎Ⅰ峰平蔵谷側上部フェース成城大ルート L藤田、二宮、野水、山田、浦
雄山 L渡辺(三)、岸川
八ツ峰Ⅵ峰Dフェース富山大ルート アプローチ |
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八ツ峰Ⅵ峰Dフェース富山大ルート |
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八峰5-6のコルから |
前夜8月9日 夜 先発隊(渡辺(三)、岸川、小林、浦) 扇沢無料駐車場にて仮眠
8月10日 晴れ L渡辺(三)、岸川、小林、浦
7:30 トローリーバス乗車~9時過ぎごろ室堂着(朝食、共装の振分けなど)10:00出発~雷鳥沢10:40/55~尾根合流11:25/35~尾根
中間くらい11:55/12:00~剱御前小屋12:45~剱沢キャンプ場13:10幕営
6:30(土日祝日の始発時間)にバスが出ると思い6:20にバス乗り場に急いだのだが、チケット売り場はすでに長蛇の列、オマケに 始発は7:30との事。
トローリーバス乗車待ちの時間を利用し弁当の販売口上が始まる。「上に行けば行くほど値段も上がります。」などと言われれ ば今のうちとあわてて買うのが人の常(弁当を買うことが過ちかどうか?)、かく言う僕も見事に弁当を抱えてバスに乗車したのだが。
バス乗車後は順調に乗継ぎを繰り返し室堂着。共同装備の分配、ブランチ?、ビール購入など各々準備を済ませ10:00に歩きだす。一汗かいた頃雷鳥沢に到着。
角のベンチにて先客の老夫婦にことわって荷物を下ろす。ヤケにノリの良いご夫人で会話が弾む。 今朝、一の越小屋を出てわずか10分程で息が切れ、夫人「ガイドさん、ちょっと休ませて!」ガイド「あんたね~、まだ10分しか歩いてないのに休んでちゃ、どんだけ時間かかると思ってんの!」なんて会話が交わされて、ご夫婦は辛い登りから解放されたらしい。
本日のお泊りは雷鳥荘らしいが立山縦走してきた御一行と合流しないことには、チェックインできないとの事で暇を持て余して いるご様子だった。小林の個人ガイドの営業が終わると再び出発。
遥か上方に見える剱御前小屋に向かって汗だくになりながらひたすら登る。2度目の休憩後小林、浦テント設営隊として先行す る。
御前小屋前は人が溢れていた。ここまで来ればあとは一気に下るのみ。13:10剱沢キャンプ場着。
テント設営後、預かったビールを雪渓に埋め2人の到着を待つ。
到着後は、先ず乾杯!その後受付、水汲み、アルコール調達。昨夜から風邪気味の僕は、ひと眠りさせてもらう。
声をかけられ出て行くと夕食ができていた。先発隊食当は岸川。メニューは、味噌ブタ、キャベツ千切り、マカロニサラダ、ソ ーセージに無洗米を炊いた白飯。豪華ディナーを終えると明日に備え19時ごろ早めの就寝。
8月11日 晴れ 八ツ峰Ⅵ峰Dフェース富山大ルート L渡辺(三)、岸川、小林、浦
剱沢4:30~長次郎出合5:20/35~休憩地点6:00/6:15~熊の岩7:20/8:05~6峰D フェース富山大ルート取付8:30/8:50~終了点 1)11:40 2)12:00/12:30~熊の岩14:05/35~雪渓終了15:15/15:30~池の谷乗越16:00~三ノ窓ビバーク地17:00(小林のみ熊の岩から剱沢へ)
3:30起床。昨夜多めに炊いておいた白飯とドライのトマトスープを使ってトマトリゾットの朝食。
今夜は、三ノ窓にツエルトでビバークの予定なのでシュラフも忍ばせて4:30テン場を出発。剱沢小屋を経由せず直接雪渓に下りてアイゼン装着し歩き出す。すぐに雪渓がなくなったのでアイゼン履いたまま夏道の方へ上がって歩く。やがてまた雪渓が現れる。(15日剱沢小屋経由夏道を下り平蔵谷出合まで50分かかってるので雪渓下りたほうが早いのか?)
5:20長次郎出合到着。ここからは近そうに見えてわりと遠い熊の岩までの登り。途中1度休憩を挟み熊の岩で大休止。Dフェースには、2パーティが取り付いている。水汲み、腹ごしらえ、ビバーク装備のデポなど済ませ取付へ。
出来るだけ最短距離で取付へ近づいていくと深いクレバス?シュルンド?に拒まれる。ステップカッティングしながら乗り移れそうなところまで下りる。乗り移る側の雪渓の厚さを見て、崩れた場合の落下距離を考え、崩れても大丈夫と判断。思いっきり
ジャンプして飛び移った。頑丈そうだ、後続に乗り移ってもらう。取付まではもう1ヶ所シュルンドを潜り抜ける必要があった。
いよいよ本日のメインイベント6峰Dフェース富山大ルート。浦ー渡辺(三)、小林ー岸川で登攀開始。(リードは全て浦、小林)1p Ⅳ クラックの左を登る。アルパインクライミングは、とにかく簡単な方へと逃げながら登る、最近覚えた事だ。朝一という事もありカムを1つ決めて、ハシゴを登るようにグイグイと、それでいて静かに登る。逃げ過ぎかな、やけにあっけなく終了点
到着。
2p Ⅲ これまたハシゴを登るように行ける。ハングを左へ逃げたところに終了点があり、ピッチをきる。
3p Ⅲ 逃げたハングの上に出るよう右上すると終了点が!2p目はここできるっぽい。体も岩に馴染み、この辺からよく覚えて ないが簡単だったと思う。
4p Ⅳ おそらく核心のピッチ。核心はどこかなぁって登ってるうちに終了。この辺から高度感が出てきて眺望もよくなってくる。
5p Ⅲ リッジ。スパッと切れ落ちたリッジをひたすら登る。
6p Ⅲ リッジ。ちょっと傾斜も緩くなってきてたと思う。
7p ロープいらないくらいのリッジと草付き。
浦ー渡辺(三)11:40、小林ー岸川12:00登攀終了。
食事、水分補給、身仕度を整え5、6のコルから下山。
13:05熊の岩到着。大休止後、渡辺(三)、岸川、浦は三ノ窓と小林は剱沢へそれぞれ別れて出発。三ノ窓に水は出ているらしいと の情報はあったが、念のため水を持ってあがる。
池の谷乗越までくるとかなりガスに包まれてくる。視界不良の池の谷ガリー下降は、気持ちのいいものではない。
やっとのことで三ノ窓到着。先客はテント2張、ツエルト1張。先客に理りをいれ大きめのテント横にツエルトを張らせてもらう 。夕食はα米とドライのシチュー、薄い水割りに三平さん持参のオリーブが疲れた身体に効いた。今日を振り返りながら話しに
花が咲いてきたころ、隣のテントからお叱りの言葉を頂く。反省!時計は18:20。山の夜は早いのである。
6峰では1番難しいと思っていたDフェースだが、ちょっと物足りないぐらいに容易だった。支点はないところはないが別段ランナウトが気になる事はない。終了点も多めにあり判然としないが、どこできっても大丈夫な感じである。待ち時間なく追い立てられる事もなく、スイスイと登れ予想より早く頭に着いた。
8月12日 晴れ時々曇り チンネ左稜線 L渡辺(三)、岸川、浦、(小林)
三ノ窓ビバーク地4:30~チンネ左稜線取付4:50/登攀開始5:30~登攀終了11:50/12:20~ビバーク地13:00/13:15
~デポ14:00/14:10~長次郎谷雪渓14:30~熊の岩15:05~出合15:55~剱沢小屋17:55~剱沢幕営地18:10
(小林は剱沢~室堂~扇沢へ下山)
朝食は各自用意したものでサッサと済ませ、前半のハイライト左稜線へ向け準備をしていると隣のテントの方から声をかけられる。
隣人「この水もう捨てるんだけどいる?」僕「あ、いいです。」ちょっと躊躇したが水の出てる場所を前日聞いていたので断ってしまった。
4:30出発。先行パーティがヘッドランプで登攀開始したようだ。取付の下から上の方を見ると水が流れて…なかった。ここまで 来て水無しで敗退はヤバい。遥か下の方、雪渓がきれているところまで下ってみる。雪解け水が湧き出している。3人分タップリ
汲んで意気揚々と取付に戻る。
5:30 登攀開始。浦ー岸川ー渡辺(三)の逆Vで全ピッチ登る。
1p Ⅲ 以外と立っていて、朝一のクライミングで緊張して登る。落ち着いて登ればホールド、スタンスとも豊富でスイスイ行 ける。
2p~10p ピッチ数が多いのであまり覚えていません。6p目あたりからリッジに出たと思う。出来るだけ簡単そうなところを行けば、ルートを外すことはない。ランニングないところは全然ない、もしくはハーケンにカラビナが通らない。途中終了点をカム
でとったところもあります。
11p いよいよ核心です。出だしから立っていて緊張するが、ハーケンだらけ。ビビってランニング取りまくっているとヌンチャ クが足りなくなる。ハングを左へ回り、そのまま右にあがるところが一手だけホールド、スタンスいいのがありません。右上に
フレークが見えるので左手カチでそっ~と立ち込み右手を伸ばす。剥がれる心配なければ両手で持って一気に身体をあげます。 後はハシゴを登るようにいくだけ。
12p~最後 ずっと快適なリッジ、ピナクルを登ります。支点はあいかわらずほとんど無いが確実に登っていけば大丈夫。11:50登攀終了。
今日はこれからまだ移動が残っている。池の谷ガリーを下り三ノ窓にデポした荷物を持って池の谷ガリーを登り長次郎雪渓経由で剱沢幕営地まで。
予想通り、相当キツい帰り道になった。途中熊の岩に放置したカメラを回収して、剱沢小屋でビールを買って、水汲んでヨレヨレでテントに転がり込む。
チンネ左稜線は、人気ルートらしく最高のロケーション、快適な登攀だった。核心も一瞬「無いっ!」と思うが冷静にいけば普通にいけるはず。
終了点は無かったりするので、ちゃんと構築できるようにしてから挑戦したほうがいい。岩を叩きながら登ったが概ね頑丈そう であるものの鈍い音がする場合もあった。当たり前だが剥がれる可能性も頭に入れておくべし。
8月13日 雨 L藤田、二宮、野水、山田入山 (先発隊休養日)
22:00時西国分寺駅→扇沢2:00到着後、そのまま車内で仮眠→5:40起床→6:30扇沢発→8:00室堂→11:00剱御前小屋→11:45剱沢小 屋(幕営)
扇沢は朝一から多くの人。室堂からはレインを脱げば降り、着れば止む雨にもて遊ばれたが、初めての剱にして雷鳥を拝むこと
ができた。(入山は山田:記)
12時ちょっと前、後発隊到着。食当山田、メニューはちらし寿司。
8月14日 雨 停滞 夕食メニューは豚角煮丼。
8月15日 晴れ後曇り
源次郎Ⅰ峰平蔵谷側上部フェース成城大ルート L藤田、二宮、野水、山田、浦
剱沢幕営地3:20~平蔵谷出合4:10/20~分岐5:40/50~取付7:30~登攀開始8:00~終了14:10/14:25~分岐15:10/20~平蔵谷出合
16:45~剱沢幕営地18:10
雄山 L渡辺(三)、岸川
テント場出発 4:30 → 雄山山頂 7:50~8:30 → テント場 10:50
源次郎Ⅰ峰平蔵谷側上部フェース成城大ルート
2:30起床。昨日のうちに荷物を用意して3:20ヘッドランプで歩き出す。
平蔵谷出合に着くころには明るくなっている。源次郎尾根縦走路を登り上部フェース取付へ入る踏み跡を探る。迷走の末、強引に藪を漕ぐしかない事に気付く。
7:30取付着。もう1パーティに先を譲り、少々の待ち時間。
藤田(全ピッチリード)ー野水ー山田、二宮ー浦(つるべ)で登攀開始。
1p Ⅲ 右凹角から半分草付きのようなところを登る。浮石多し二宮リード。
2p Ⅲ+ 右から、難しいことはないが全体に悪い感じがする。浦リード
3p Ⅳ 左から、短いピッチ。フェースを登る。ランニング少ないです。二宮リード
4p 5.8 核心。左上にトラバース。岩が安定していません。緊張感たっぷりの40m。個人的には結構楽しめたピッチ。浦リード
5p 5.7 左に出てそのまま左上。ピッチを短くきった。二宮リード
6p 5.7(5pの続き)右のフェースから這松帯へ入り、藪漕ぎ。ランニング無しのフェースは、しっかり三点確保で。浦リード
7p Ⅱ? 岩と這松。一応ロープを引っ張ていく。二宮リード
14:10登攀終了。源次郎尾根縦走路の下りもなかなかたいへんです。3カ所ロープ使用。
テントへ戻ると、ビールとカレーが用意されていた。カレーはスパイスの効いた本格的なもの。酒もカレーもサイコーだった!
一時は去年の二の舞かと思われたが「登れてよかった!」というのが正直な感想です。藤田さん曰く、パンチの効いたルート。 前半のDフェース、チンネと違って快適ではない、いやらしいルートでした。個人的には、その緊張感がちょっと心地良くもあっ
たのですが。実際にクライミングらしいのは4p目のみですが、総合力が試されるいいルートではないかと思います。
雄山
成城大ルートのメンバーを見送った後のんびり朝食を済ませ、水と行動食、防寒着だけ持って出発。
別山⇒真砂岳⇒雄山 は、早朝だったからなのかとても静かで人が少なく、よかった。
天気がよく、遠くの山々まで見渡すことができた。雄山の山頂からは五色が原や雲ノ平が見え、穏やかな山の景色を楽しむこと ができた。
クライミングだけじゃなく縦走も満喫することができ、充実した1週間となりました。 (雄山は岸川:記)
8月16日 晴れ L渡辺(三)、藤田、二宮、野水、山田、岸川、浦
剱沢4:50~休憩5:10/15~御前小屋5:40/45~雷鳥沢6:37/50~室堂7:45~トローリーバス8:15
発隊は充実の2本を登り、後発隊も一時は絶望的かと思われた天候でしたが、二宮さん希望の1本を登れて、それぞれはればれ した顔で下山、今回の合宿の成功を物語っているかのようでした。三平さん、藤田さんリーダーご苦労様でした! 食当の岸川さん、山田さんごちそうさまでした!
(全体の記録は浦)
2015年8月剱沢夏合宿総評(渡辺三:記)
昨年の剱沢夏合宿は、台風のため全日程が雨でありましたが、今年は中日二日間が雨で先発隊にとっては、良い休暇が取れたと 思います。
入山日から天気がよく目的であった八峰六峰Dフェース(L渡辺三、岸川、小林、浦)、チンネ左稜線(L渡辺三、岸川 、浦)の登攀が出来よかったと思いますが、八峰六峰Aフェース、Cフェースの登攀が出来なかったことは、今合宿の心残りとで
した。剱沢BCから八峰Dフェース登攀後、三ノ窓の移動と12時間行動。翌日のチンネ左稜線登攀後三ノ窓にデポ装備の回収後、剱沢BCに帰還する15時間行動とハードであったがつくづく体力のなさを痛感させられた山行でした。
今回は、夏山ということもあるが素早い行動が事故のリスクを少なくすることを肝に銘じ精進しなければならないと痛切に感じた山行でもあったが、この一
週間は、充実した山行を送ることができました。
また、新人には剱岳の概要を勉強して山行に同行してもらいたかった。
自分が登る尾根・谷、登攀する壁をどこまでデスクワークしてきたのか疑問が残る。先に概要をつかませるために八ツ峰主稜の縦走、源次郎尾根主稜の縦走をさせるべきで、反省のひとつでもあります。
どこの山域に行くにしても地図を見る、これは登山の基本であり日頃から地図読みをする習慣を持つことが大切である。
後発隊も入山日と翌日が雨で、翌日の天候が心配であったが晴れて目的の源次郎尾根Ⅰ峰成城大ルートの登攀ができ目的が果たせてよかったと思います。
食糧計画も、先発隊・後発隊とも工夫が見られ今後の合宿に生かしてもらえればと考えます。
何はともあれ今合宿は、成功裏に終了いたしました。
チンネ左稜線 | |
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後発隊入山 | |
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ライチョウ | |
剱沢テント場 | |
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源次郎Ⅰ峰平蔵谷側上部フェース成城大ルート | |
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雄山 | |
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テントの中 剱の朝 | |
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下山 | |
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黒部ダム | |
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